近年、日本国内では空き家が急増し様々な問題を引き起こしています。ニュース等で見聞きする人も多いと思いますが、本来資産として活用されるべき不動産も、空き家のままでは利益を生み出さないばかりか様々なリスクを発生させてしまうので注意が必要です。空き家は特に相続を機に発生するケースが多く、相続人となった方は法的な責任や管理の手間、費用などの面で大きな負担を背負うことになります。こちらのコラムでは空き家を相続する場合の様々なリスクを押さえ、これに対処する方法を見ていきます。
空き家を相続する前に知ってほしいこと
相続する前に必ず知っておかなければならないのは、空き家の管理には大きな手間と費用がかかるということです。不動産は人が住まなくなると急速に朽ちるスピードが速まることと、下で述べるように適切な管理をしないと法的な責任を問われる可能性が出てきます。所有しているだけでかかる固定資産税の負担はもちろん、定期的なメンテナンスや管理には結構な出費を要します。遠方の場合は移動費などもかかりますから、空き家の所有者は費用面、手間の面で大きな負担を負うことになります。
空き家のまま所有することは、キャッシュフロー的に言えば「単純な資金流出」となり、一切の収入が入ってきません。資産運用という観点から言えば不動産としての機能を発揮できていない状態です。このため、自身で利用しない空き家はできるだけ速やかに売却し、管理の手間や費用負担、そして管理者としての法的な責任から離脱することが望まれます。しかし歴史や思い出の詰まった家だとなかなか決心がつかないこともあります。その場合は「賃貸に出す」などして活用することもできます。いずれにしても空き家を相続したら地元の不動産事情に詳しい不動産会社に是非ご相談ください。
相続にかかる費用について
ここでは空き家不動産を相続する場合にどのような費用がかかるのか見ていきます。
①相続税
空き家を相続する場合は相続税の負担について考えなければなりません。全ての相続財産を合算したうえで、相続税評価額が基礎控除額「3,000万円+(600万円×法定相続人の数)」を超える場合は、原則として相続税の申告・納税手続きが必要になります。ただし相続税には各種特例が用意されているので、状況によっては計算の結果相続税が発生しないこともあります。
②相続登記の費用
相続した不動産は相続人への名義変更が必要です。名義変更は相続登記によって行いますが、その際に一定の登録免許税の負担が生じます。登録免許税は基本的に対象不動産の固定資産税評価額の0.4%です。他に、手続を司法書士に依頼する場合は報酬の支払も必要です。相続登記は2024年の4月1日から義務化が決まっており、同日以後は過去に遡って全ての相続不動産に登記義務が発生します。未登記物件の所有者には一定のペナルティが課されるので、今の段階でも不動産を相続したら必ず相続登記を行いましょう。
③売却にかかる譲渡所得税
相続した不動産を売却する場合、不動産譲渡所得税がかかることがあります。ただし売却によって実質的な儲けが生じた場合だけであり、様々な経費を控除することができるので負担はかなり軽減できます。また不動産譲渡所得税にはいくつかの特例もあり、条件を満たす場合は特別に有利な計算ができるようになっています。比較的多くの相続事案で不動産譲渡所得税が生じないようにできるので、ぜひ一度ひまわり不動産にご相談ください。
空き家を相続する方法
相続放棄をしない場合、以下の方法で空き家を相続することになります。
①単純承認
相続発生から3ヶ月が経過すれば、単純承認とみなされ空き家は自動的に相続されます。特に手続きは不要ですが、被相続人に借金があるなどの場合は負債も引き継ぐため注意を要します。
②限定承認
相続発生から3カ月以内に家庭裁判所で手続きを取れば限定承認が可能です。限定承認は、故人が残した借金などの負債について、現預金や不動産などプラスの遺産の範囲内で責任を負えば済むため、相続人固有の財産から弁済金を支出せずに済みます。限定承認をした場合は故人の借金返済のために空き家の換価処分が必要になることもあります。
遺産分割の方法
複数の相続人がいて被相続人が遺言書を残していない場合は、相続人同士で遺産分割協議が必要です。もしくは、遺言書があっても相続人全員の合意があれば遺言書とは異なる遺産の取り分を定めることができます。つまり、他の相続財産も合わせて「空き家を誰が相続するか?」を話し合いで決めるわけです。
遺産分割は以下の3つの方法があります。
①現物分割
例えば現金は三男、株式は二男、実家不動産は長男など、財産を現物のままで分割する方法です。
②代償分割
「遺産が不動産しかない」などの場合、例えば長男が一人で実家を相続する代わりに、二男と三男には長男の固有の財産から幾らか支払い、満足を得てもらうこともできます。
③換価分割
不動産を換価処分してお金に換え、これを平等に分ける方法です。トラブルになりやすい相続不動産は多くのケースで換価分割が検討されます。
相続した実家(空き家や空地)の管理者責任について
冒頭でも少し述べましたが、空き家が倒壊するなどして被害が発生した時には所有者に損害賠償の責任が生じることがあります。適切な管理は所有者の義務ですので、空き家のまま放置しておくことはリスクが伴います。土地に関しては建物よりはリスクが下がりますが、それでも不審者による不法投棄から何らかの被害が周辺に及び、管理責任を問われるリスクはあります。なお、仮に相続放棄をしたとしても、次の相続人が物件を適切に管理できるようになるまでは相続放棄をした者が引き続き管理の責任を負うので、この点にも注意が必要です。
また空き家問題の増加により創設された「空き家法」には特に注意を要します。相続して所有権を得た不動産について、特に危険が生じるリスクがある「特定空き家」に指定されてしまうと、固定資産税の負担が跳ね上がったり、強制的に家屋を解体されてその費用を請求される可能性も出てきます。
空き家の処遇に悩んだらプロに相談ください
空き家は所有しているだけで費用も手間もかかり、所有者には管理の責任が生じます。万が一何か問題が起きた場合は損害賠償の責任が生じる危険もあるので、適切な管理を行いつつ、できるだけ早くその処遇をプロの不動産会社に相談しましょう。売却による換価処分をしてしまえば全てのリスクを回避することができますし、物件によっては賃貸に出して家賃収入を得ることができる可能性もあります。相続不動産は経年が進んだ物件が多いので、買い手や借り手探しは難度が上がります。こうした物件はその地域の不動産事情に詳しい地元の不動産会社に相談するのがお勧めです。
ひまわり不動産ではこれまで多くの相続空き家の売却や賃貸の仲介をして参りましたので、活用方法のご提案含め取り扱いには自信があります。山梨県都留市近郊で空き家を相続したら、ひまわり不動産にぜひお気軽にご相談くださいませ。