不動産を売却する際には、さまざまな費用が発生します。また、売却時に利益が出たら税金も納めなければなりません。不動産の売却代金から諸費用や税金を差し引いた金額が最終的に手元に残ることになるので、より正確な資金計画を立てるためには売却前にどのような諸費用や税金がいくらかかるのかを把握しておく必要があります。
そこでこの記事では、不動産売却時にかかる費用の種類や計算方法に加え、費用が発生するタイミング・金額についても解説します。
不動産売却にかかる費用
不動産を売却する際には、「仲介手数料」「測量費用(境界が不明な場合)」「印紙税」「譲渡所得税(所得税・住民税・復興特別所得税)」などの費用がかかります。一般に不動産売却時には売却金額の4~6%の費用がかかるといわれ、総額で数百万円ほどに上ってしまうことも少なくありません。
費用を支払う直前になって資金の捻出に慌てずに済むよう、不動産の売却に際してどのような費用がいつ、いくらかかるのかを押さえておきましょう。
①仲介手数料
所有している不動産を不動産会社の仲介を通じて売却した場合、不動産会社に仲介手数料を支払う必要があります。あくまでも売買契約が成立した際に発生する費用であり、仲介業務を依頼しただけではかかりません。
仲介手数料の上限額は、宅地建物取引業法によって以下の表の通りに定められています。
不動産売買価格(税抜) | 仲介手数料の上限額 |
---|---|
200万円以下の部分 | 5%+消費税 |
200万円を超え400万円以下の部分 | 4%+消費税 |
400万円を超える部分 | 3%+消費税 |
参照:国土交通省 宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額(https://www.mlit.go.jp/common/001307055.pdf)
たとえば、不動産の売却価格が2,000万円だった場合の仲介手数料は以下の通りです。
(200万円×5%+200万円×4%+1,600万円×3%)×10%=72万6,000円
仲介手数料は売買契約時に50%、物件引き渡し時に残りの50%を支払う形が一般的であり、原則現金で支払います。銀行振り込みに対応している不動産会社もありますが、その際の手数料は自己負担となるケースが多いので注意が必要です。
②測量費用(境界が不明な場合)
不動産を売却する際は、土地の現況をしっかりと確認しましょう。とくに土地の境界は隣人トラブルへと発展しやすいため、境界が不明確の場合は土地の売却前に隣地の方の立ち会いのもとで土地家屋調査士に測量してもらい、「確定測量図」を作成する必要があります。
また、隣地の方が境界について合意していることを示す「境界確認書」を合わせて作成しましょう。ただし、境界確認書はあくまでも当事者間でのみ有効となる契約書なので、土地を第三者に譲渡した場合にも確認書の内容を受け継ぐ旨を記載し、隣地の方の承諾を得ておくことが重要です。
土地の測量費の相場は35~80万円ほどです。基本的には売主が負担しなければなりません。
③印紙税
印紙税とは、不動産売買契約書や住宅ローン借入時の金銭消費貸借契約書などの課税文書に対して課される税金のことです。
印紙税額は契約書に記載された金額に応じて以下の表の通り定められています。なお、2024年3月31日までに作成された不動産売買契約書に関しては軽減税率が適用されます。
契約金額 | 本則税率 | 軽減税率 |
---|---|---|
10万円超50万円以下 | 400円 | 200円 |
50万円超100万円以下 | 1,000円 | 500円 |
100万円超500万円以下 | 2,000円 | 1,000円 |
500万円超1,000万円以下 | 1万円 | 5,000円 |
1,000万円超5,000万円以下 | 2万円 | 1万円 |
5,000万円超1億円以下 | 6万円 | 3万円 |
1億円超5億円以下 | 10万円 | 6万円 |
5億円超10億円以下 | 20万円 | 16万円 |
10億円超50億円以下 | 40万円 | 32万円 |
50億円超 | 60万円 | 48万円 |
参照:国税庁 不動産売買契約書の印紙税の軽減措置(https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/inshi/08/10.htm)
印紙税は売買契約を締結する際、契約書に収入印紙を貼る形で納税します。たとえば不動産の売却金額が2,000万円だった場合の印紙税は1万円です。
④譲渡所得税
譲渡所得とは、不動産を売却して得られる利益のことです。不動産を売却して譲渡所得が発生した場合、その譲渡所得に対して所得税・住民税・復興特別所得税(2037年12月31日まで所得税に対して課税)が課されます。これらの税金を総称して「譲渡所得税」と呼びます。
譲渡所得は不動産の売却金額から不動産購入時にかかった費用(取得費)と売却時にかかった費用(譲渡費用)、一定の要件を満たした場合に適用される特別控除を差し引いて算出します。計算式に表すと、以下の通りです。
譲渡所得=不動産売却金額-取得費-譲渡費用-特別控除
不動産の売却金額がそのまま譲渡所得になるわけではない点を押さえておきましょう。こうして導き出した譲渡所得に一定の税率をかければ譲渡所得税を求められますが、税率は不動産の所有期間が5年以下の「短期譲渡所得」と5年超の「長期譲渡所得」とで以下の表のように異なる点に注意が必要です。
所有期間 | 所得税率 | 住民税 | 計 |
---|---|---|---|
5年超え (長期譲渡所得) |
15.315%(2037年まで所得税額に対して2.1%の復興特別所得税が課税) | 5% | 20.315% |
5年以内 (短期譲渡所得) |
30.63%(2037年まで所得税額に対して2.1%の復興特別所得税が課税) | 9% | 39.63% |
参照:国税庁「No.3211 短期譲渡所得の税額の計算」(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3211.htm)、
国税庁「No.3208 長期譲渡所得の税額の計算」(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3208.htm)
また、不動産の所有期間は売却した年の1月1日時点で判断される点に気をつけましょう。たとえば2017年5月1日に購入した住宅を2022年11月1日に売却した場合、実質所有期間は5年6か月ですが、税金の計算上は4年8か月と見なされてしまいます。短期譲渡所得と長期譲渡所得とでは納税額に2倍ほどの差が生じてしまうため、売却前にはいま一度所有期間について確認しておくことをおすすめします。
なお、相続で取得した家の所有期間は相続時ではなく、被相続人が取得した時点から計算します。親が亡くなって実家を相続した場合は親の取得日がそのまま相続人に受け継がれるので、親が不動産を購入した年月日を確認する必要があります。
地域密着型不動産会社だからできること
不動産売却時の最終的な手残り金額を知るためには、どのような費用や税金がいくらかかるのかを把握した上で、どのくらいの価格で売れるのか、おおよその売却金額のめどを立てておく必要があります。そのため、不動産の売却を検討し始めた際はまず売却にかかる費用を把握するとともに、不動産会社に査定を依頼して現在の査定価格を調べましょう。
ひまわり不動産は、山梨県都留市に根差して不動産の賃貸・売買に携わっている地域密着型の不動産会社です。不動産を売却する際にはさまざまな手続きが必要ですが、遠方に住んでいて都留市に足を運ぶのが難しい場合でもオンラインを活用しての対応が可能です。
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